• 小宮沢 奈代

「離職率75%・低賃金の業界で、成績優秀なミレニアル世代が働きたいと殺到する会社」



スチューデントメイド社は、アメリカにある成績優秀な学生たちがメイドとして働く清掃サービスの会社です。


仕事内容は体力的にきつく、低賃金と言われる清掃業界で、成績優秀なミレニアル世代の学生が働きたい会社として非常に人気がある会社です。

CEOのクリスティン・ハディード氏は、アメリカでもっとも注目される経営者の1人となり、数々の名だたる企業のトップたちがこぞって彼女の講演を聞きにくるそうです。


この会社はハディード氏がまだ大学生の頃に「99ドルのジーンズを買うために1回でできる仕事をしよう。他人の浴槽を磨くぐらいなんでもない」と軽い気持ちで始めたことがきっかけでできました。


経営のことなど何もわからない学生が立ち上げ、しかも日本でも一般的には大変だと言われる清掃業界。そして働く学生たちは、批判に弱く扱いにくいといわれているミレニアル世代。


そんな会社がどうしてここまで成功できたのでしょうか?


スチューデントメイド社の理念には、「チームメンバーが人として、またリーダーとして学び、成長していくためには、失敗から立ち直る機会を与えることが重要であり、彼らが当社から離れても自分自身とリーダーシップ能力に自信を持って将来に臨めるようにすること」とあります。


こうした理念はハディード氏の「とんでもない数の失敗」からできたものと言います。

果たしてスチューデントメイド社は、どのようにして働く学生たちを幸せにする会社になったのか。

その秘密を「幸せの4因子」にあてはめて探ってみましょう。



🍀やってみよう因子:

給与担当の学生が、学生たちに支払う給料を数万ドルも多く振り込んでしまったことがありました。ハディード氏はもちろん焦りましたが、事態を収拾をその学生に任せることに決めました。その結果全額回収することができ、その後もまた同じ学生にその仕事を任せたのです。


このことがきっかけで「失敗する余地があり、失敗してもクビになる心配をせずに自分で解決する環境」が作られました。

学生たちには「やってみよう」という挑戦の機会が与えられ、自分で解決できるという自信と自立心が養われるようになりました。


🍀ありがとう因子:

創業開始からクライアントが増え続け順調かと思っていたある時、1日に45人が同時に辞めてしまいます。ハディード氏はその時「リーダーシップとはエアコンの効いたクラブハウスにふんぞり返っていることではない」と気がつきます。

自分の至らなさを謝罪し、学生たちはみな会社に戻ってきました。


その後、学生一人一人を褒めて応援することを始めました。ところが、いいところを褒めて改善した方がよいところを見なかったため、問題行動があってもそれが直らない学生が出てきてします。


試行錯誤の結果、顧客・同僚・上司と360度評価をしあう制度をつくり、ハディード氏も学生たちも自分のいいところにも悪いところにも向き合えるようになりました。

顧客に対しても、「この会社の学生のメイドを雇うことは、学生が学び成長するための機会に投資していることです。そして詳細なフィードバックをすることで、お客様も学生たちの学習のプロセスに加わってください」というメッセージを送っています。

こうして一人一人の自信と自立心が満たされるようになると、他者のことも認められ「ありがとう」という感謝の気持ちとともに学生たちとの間で信頼関係が生まれていきました。


🍀なんとかなる因子:

仕事を何から何まで自分で抱え込んでいたハディード氏は、仕事をメンバーたちに任せる必要があると思いました。


その時にしたことは、業務のやり方を事細かに記した長いマニュアルとToDoリストを作ること。

これで準備万端と思いきや、それでもすべての質問に答えトラブルの対応をするのは相変わらずハディード氏。仕事が減ることはありませんでした。

疲労困憊したハディード氏は、ある時初めて休暇を取ることにします。

しかしせっかくの休暇中も仕事が気になって仕方がない。そして会社から「緊急事態だからすぐに連絡して」というメッセージが届いてしまいます。

出発寸前の飛行機に乗っていた彼女はそれに気が付いても返信ができず、「これでとうとう会社が終わる」と絶望します。

ところが到着した頃には、「すべて解決した」という連絡が。


その時ハディード氏は「学生たちには自分で答えを見つける力があったのに、それを発揮する機会がなかった」ことに気が付きました。

信じて任せ、自分で解決できる環境を作ることで、学生たちは「なんとかなる」と思い切った挑戦ができるようになるでしょう。


🍀ありのままに因子:

ハディード氏のこうした経営方針が注目され講演やメディアなどに出始めた頃、完璧に見せようと思いうまくいったことばかりを話していました。しかし、誇らしい気分は長続きしませんでした。

それは「自分がどんな経験をしてそこに至ったか」を話していなかったからだと気づきます。

ハディード氏は「リーダーは失敗を語るべき」と言います。

「何もかもうまくいってユートピアのような会社と思われがちだけれど、ときどき問題は発生するし間違いも犯す。しかし失敗を堂々と認めるから正すことができる」。

リーダーがありのままの姿を見せるからこそ、学生たちも安心してありのままに働くことができるのでしょう。



参照:「奇跡の会社」ダイヤモンド社 クリステン・ハディード (著), 本荘 修二 (監修, 翻訳), 矢羽野 薫 (翻訳)




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