• 前野 隆司

いい会社をつくりましょう(伊那食品工業)


念願叶って、幸せな会社の元祖の一つ、伊那食品工業を訪問し、塚越会長、塚越副社長、川上工場長らとお会いすることができました。感謝感激です。早朝の掃除を見学。ガーデンの見学。そして工場長、副社長、会長のお話と質疑応答。すべてが美しかった。


伊那食品工業って、どんな会社?


ご存知社是は、「いい会社を作りましょう」

普遍的な理念(社是)は変えない。変わらない。

目先の効率は求めない。

売り上げや利益の目標は立てない(前年よりも成長だけは目指す)

業績の評価はしない。

会議には資料はない。

会議では報告もない。

給料は60年間毎年全員上げてきた。

表彰はしない。

給料にほとんど差をつけない。

朝はみんなで東京ドーム2個分のガーデンを掃除。

掃除は各自の気づきの力の訓練のため。

社員駐車場ではいつのまにか社員が車の後ろを揃えるようになった。

お客さんのための傘の向きも揃っている。

社会から尊敬されなければブランドとは言えない。

人間の営みはすべて幸せのため。

大事なのは思いやり。やさしさ。

経済活動は胃袋をふくらませるくらいのもの(ドラッカー)。

500人の会社(伊那食品)でできるのだから30万人(トヨタ)でもできる。



「みんな給料が同じように上がるとサボる人はいないんですか?」

「掃除を嫌々やる人はいないんですか?」

「そうは言ってもネガティブな部分はないんですか?」

などの質問をみんながするたびに、伊那食品の方は、トップから社員まで、みなさん、すこし考えてから、「いませんねー」「ありませんねー。」とあたりまえないしは不思議そうに答えられる。本当にいい会社としてのあり方が徹底的に染み付いていて、いいことがあたりまえになっている本物さ。


いろいろなことを疑って質問するたびに、比較や効率や評価や分断にまみれたこちらがわの心の醜さが浮き彫りになるような質疑応答でした。これまでいい会社をたくさん見て来ましたが、これほどまでにいい会社が全員の心の中に染み渡っている会社は見たことがありません。


同行した荻野淳也さんがおっしゃっていました。

「ここは僕にとって神社のようなところなのです。何度来ても、心が洗われるところ」


私から副社長への愚かな質問。

「会長の偉大さに対し、追いつこうとは思いませんか」

副社長は少し考えてから

「追いつこうと考えたことはありませんね」


幸せな会社って、可能なんだ

他人と比較せず、自分らしく、前向きに、みんなで信頼しあいながら歩む人が幸せ。幸福学研究者として、いつもそう言っているのに、自分はそうではない質問をしているということに何度も気づかされました。本当に幸せの条件を500人もの人の間で満たすことは可能なのだということを見せつけられた伊那食品訪問でした。


「普通にやっているだけですよ。お姉さんは出来がいいから小遣いを多く、弟はできがわるいから小遣いを少なく、なんてしないでしょう。それと同じことをしているだけなんです。500人が家族なんです」



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