• 前野 隆司

日本におけるティール組織・ホラクラシー組織の先駆者、ダイヤモンドメディア

『幸せな職場の経営学』(小学館、2019年)に掲載したダイヤモンドメディア株式会社の事例の一部に加筆して掲載します。


ティール組織・ホラクラシー組織の先駆者、ダイヤモンドメディア

不動産ソリューションカンパニーとして、不動産業界向けのWebソリューションを提供するダイヤモンドメディア株式会社は、戦略的な賃貸経営をサポートする不動産オーナー向けサービスや、賃料査定とレポート作成に特化した不動産管理会社向け業務支援サービスを展開しています。


ダイヤモンドメディアは、ホワイト企業大賞の2017年の大賞に選ばれています。

評価ポイントとなったのは、「自分の給料は自分で決める」、「肩書きは自分で決める」、「財務情報は全部オープンにする」、「働く時間や場所、休みは自分で決める」、「代表、役員は選挙と合議で決める」などのほか、会社に関わるすべての人の幸せを徹底的に追い求めるために、既存の経営手法の枠を超えた斬新かつ革新的な経営を行っている点です。


以下に、ダイヤモンドメディアの経営スタイルを紹介しましょう。

・自分の給料は自分で決める

・働く時間、場所、休みは自由

・社員の給与、プロジェクト予算・内容など、あらゆる情報をオープン化する

・フラットな人間関係(組織図や役職、上司や部下という概念はない)

・経営理念なし

・ノルマなし


サバイバルジャーニーガイド

また、「ダイヤモンドメディア社 サバイバルジャーニーガイド」も参考になります。抜粋して紹介しましょう。


1 情報の透明性を何よりも重視します

ダイヤモンドメディアの目指す組織作りを実現させるために、大前提として必要なのが「情報の透明性」です。社内の定量的データと定性的データを、可能な限りデータベース化し、可視化して公平性を保ち、全員が働きやすい環境を作ります。


2 組織図はありません

ビジネスモデルを最適に回す「設計図」は存在しますが、人事的な組織図はありません。各人がチームや会社が必要とするものを嗅ぎ取り、できる限り貢献するだけです。


3 休日、働く場所、時間。自分で決めてください

お客様やチームメンバーに相談の上、迷惑や負担をかけなければ、働き方に制約はありません。


4 何にどれだけ時間を使ったかを共有しましょう

労働時間を可視化します。会議の時間や移動時間、どの顧客のどの業務にどれくら

い時間を割いたかを可視化すると、個人だけでなくチームや会社全体の時間の使い

方をマネジメントできるようになります。長く働いても給与は増えません。


5 仕事を与えてくれる上司はいません

ダイヤモンドメディアには上司も部下もいません。会社やチーム、仲間や顧客のた

めに何ができるのかを自ら感じ取り、上手に役割分担をしていく必要があります。


6 代表者・役員は選挙で決めます

私達が目指す組織においては責任の所在や意思決定が組織全体に分散しているので、 取締役会の役割は必要ありません。しかし現法では、株式会社には 1人以上の取締役が必要とされているため、1年ごとに選挙をし、流動性を保たせる事になりました。


7 雑談を大切に

会社やチームで自分の能力を最大限活用できるポジションを見つけるためには、

仲間とのコミュ二ケーション(雑談やブレスト)が最も効果的です。個人の能力が

高くても、組織に必要とされなければ意味がありません。そのミスマッチをなくす

ために、チームと常に相談をしましょう。


8 オフィスは皆で作ります

オフィスは会社の象徴であり、みんなの共有財産です。


9 個人の給与は「お金の使い道のひとつ」にすぎない

半年に一度「お金の使い方会議」を実施する事で社内の給与相場を整えます。


10 その経費はどれだけの価値を生みましたか?

経費や新しいサービスの利用、備品の購入などはすべて個人の裁量に委ねています。同時に無駄な経費を生まないために、会計や経費の内訳などすべての情報を公開する事で自浄作用が働くような環境を整えています。


11 超えろ! 30万円の壁

ダイヤモンドメディアでは長い間、給与査定のための会議を繰り返してきた結果、基本給+実力給の合計が30万円を超えると、社内でも世の中でも一人前とみなされるであろうと考えるに至りました。 ダイヤモンドメディアでは社内相場・ マーケット相場で給与を決めるので、この「30万円の壁」を超えると、世の中でも通用すると言っても過言ではありません。 また、新メンバーがダイヤモンドメディアに合わなかった場合のために、1ヶ月分の退職金を転職支援金として支給する「ミスマッチ制度」などを整えています。


12 手当は厚め、賞与は業績に連動「しません」

基本給と実力給以外に勤続手当、年齢手当、住居手当、通勤手当、子供手当、慶弔手当があります。給与を決める場は半年に1度の「お金の使い方会議」で、相場で動かす給与は実力給のみになります。

賞与は半年に1度(6・12月)支給されますが、賞与のための査定はありません。基本給と実力給の合計月給の 0.5ヶ月分がそれぞれ支払われます。 ダイヤモンドメディアにはインセンティブも業績連動給もありません。仕事とお金を直接的に結び付けないので、お金のために仕事をしない環境を作っています。手当などの制度に実態との歪みが出た場合には、その都度改善を加える場合もあります。


以上が「サバイバルジャーニーガイド」の抜粋です。


ワン・オン・ワンミーティング

また、健全な関係性を育てるために、ダイヤモンドメディアでは、ランダムなワン・オン・ワンミーティングを行なっています。


一般的なワン・オン・ワンでは、ある特定の上司がその部下と対話をすることが多いのですが、ダイヤモンドメディアのそれは、メンター(指導する側)とメンティー(指導される側)という関係性で行います。相手を選ぶのは、指導されるメンティーの方です。「この人(メンター)に相談したい。話を聞いてもらいたい」という選び方をします。


この仕組みによって会社全体の感情の流れが滞ることなく円滑になったと、武井さんは言います。これは人間の身体の仕組みとも似ています。エネルギー(ここで言う感情)が滞ったり、淀んだりすると、すぐに病気になってしまう。だからこそエネルギーがスムーズに流れる循環システムが必要です。それこそ本来の自然な人間関係ではないでしょうか。


武井さんの心がけ

では、そうした循環システムが内在するために、何を心がけているのでしょうか。代表取締役の武井さんの言葉を紹介しましょう。


「一番大切なことは、情報の透明性を保つこと。そして、メンバー同士で十分に対話をすることです。それを、いろいろなところでやっていけたら良いなと思っています。会議手法としてのブレーンストーミング(ブレスト)は、会社のさまざまな場面に埋め込んでいますし、社外の人やお客さんと取り組んでみたりしています」


「先に仕事内容を規定して、そこに人を当てはめるというのが今も主流の組織論であり、現実です。こうしたジョブ・ディスクリプション(ポジションに関する職務内容を詳細に記すこと)といった概念が、僕は好きではありません。そこに人を当てはめて、要件をちゃんと満たしているかどうかとか、それ以上できたら報酬やインセンティブを与えるといった考え方自体が違うと思っているんです。

 人は、自分が得意なことをやっていたらワクワクしますし、心からワクワクすることに没頭していると、単純に楽しいですよね。僕自身、ワクワクすることしかしていません。ですから、その人の得意なことは何かということを会社で探していけるといいですよね。それぞれ得意・不得意があり、ワクワクすることが異なる人たちが集まっているからこそ、会社というチームは面白いのです」


「よく、会社がつぶれそうになったらどうするんですか、と聞かれますが、ならないのです。なぜなら皆で見ているから。優秀な経営者が一人で見ているよりも、社員全員がさまざまな角度から見ている方が、どうにかなるのです」




4つの因子とダイヤモンドメディア

幸せの4つの因子に当てはめてみましょう。

1 ホラクラシー組織、ティール組織のような新しいやり方をやってみよう!(自己実現と成長の因子)

2 雑談や1on1ミーティングで信頼感のあるつながりを!(つながりと感謝の因子)

3 ホラクラシー組織、ティール組織のような新しいやり方もなんとかなる!(前向きと楽観の因子)

4 ホラクラシー組織、ティール組織のような新しいやり方でありのままに!(独立と自分らしさの因子)

あ、どれも似ていてすみません。

ユニークな会社です!


※参考

幸せな職場の経営学

前野隆司著

https://www.amazon.co.jp/幸せな職場の経営学-前野-隆司/dp/4093886903



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