• 前野 隆司

感動話をおかずに白飯を食べる「白飯会議」

2019年7月18日から21日までオーストラリアのメルボルンで開催されたIPPA 6th Positive Psychology World Congress - Melbourne 2019。ポスターセッションに、栗原志功氏らのユニークな試みが発表された。その名も「白飯会議(しろめしかいぎ)」(英語のポスターには白飯会議という名称は載っていませんが……)。


白飯会議を行っているのは、介護施設を運営している株式会社サムエス(代表取締役は荒井浩司氏。ポスター発表の連名者)。一ヶ月に一度行っているマネージャーの会議を「白飯会議」にしたという。


多くの会社でそうだと思うが、社内での報告は、棒読みになったり、心がこもっていなかったりしがちで、往々にして、各社員の情熱が伝わりにくいという事態に陥りがちである。さらに、売上や利益を重視する会議では、各種数値の報告と、未達に対しての詰めが行われがちである。勝手に押し付けられた予算を達成したとか、「未達じゃないか!」と責めることとか、そんな売上と利益のことに時間を費やしがちではないだろうか。


そこで、この会社では、「その話をおかずに白飯を美味しく食べられるくらいに面白い話を紹介しあおうではないか」というコンセプトで、白飯会議を始めたという。売上・利益から、感動・面白へ。マネージャーはそれぞれ、一ヶ月の間に仕事の上で感動した話を話す。周りの皆はそれを肴に白飯を食べる。そして、各人が食べる白飯の量がKPI(Key Performance Indicator=パフォーマンスの評価指標)なのだという。


なんともばかばかしい試みのようだが、この結果、売り上げが数%アップし、離職率が70%も下がったという。真面目な会議を面白がりながら楽しむことで、各人のプレゼン能力が高まり、マネージャー間のコミュニケーションが促進され、信頼関係が醸成されたのではないかと推察できる。白飯だけを食べるというのは、マネージャー層が会議で贅沢な食事をすることをやめるという環境配慮効果もあるのではないかと思ったが、栗原氏によるとそれは考えていないという。栗原氏は「大事なのは非日常です。人は賛否両論と思われるような新しいことをすることによって幸せになれる。売り上げ目標のような近視眼的な目標はやめて、白飯をたくさん食べられる感動話を目標にする方が、結果的に売り上げも増えるんです」と話していた。また、「マイナスの未達をゼロにするよりも、ほんのわずかだと思われていたプラス、つまり、そんなの金にならん、とスルーされてきた現場の人間関係や感動を思い切り引き上げようぜ、っていうのが狙い」とも。


蛇足だが、栗原志功氏は、世界一長い社名の会社としてギネスブックにも掲載されている会社の経営者としても知られる。社名は以下の通り。株式会社あなたの幸せが私の幸せ世の為人の為人類幸福繋がり創造即ち我らの使命なり今まさに変革の時ここに熱き魂と愛と情鉄の勇気と利他の精神を持つ者が結集せり日々感謝喜び笑顔繋がりを確かな一歩とし地球の永続を約束する公益の志溢れる我らの足跡に歴史の花が咲くいざゆかん浪漫輝く航海へ


さて、白飯会議を幸せの4つの因子に当てはめてみよう。


・斬新な試みを「やってみよう!」

・感動する話を「ありがとう!」

・斬新な試みも、感動する話も、「なんとかなる!」

・斬新な試みも個性的、感動する話も各人各様。「ありのままに!」


白飯会議は、働く者を幸せにする試みである。



IPPA 6th Positive Psychology World Congressで白飯を手に発表する栗原氏(右)




学会参加中の栗原志功氏。コアラのぬいぐるみと世界地図のカーテンを身にまとうことで、各国からの参加者間で人気者となっていた。日本人離れした「ありのままに」力である。

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